近年、電気室や受変電設備がビルの中階層にあり、その隣室や上下階に事務所やテナントなどを配置するケースが増えてます。
事務所やテナントにはコンピュータ機器があり、電気室や受変電設備から発生する交流漏洩磁場の影響を受ける可能性があります。
このような懸念がある場合は、設計段階から電気室や受変電設備の配置、磁気シールドの設置をご検討されることをお勧めします。
要因
図1.アンペール右ねじの法則
電気が流れるとそこには磁場が発生(右図)し、その強さは電流値に比例します。
電気室には大きな電流が流れる電気幹線、トランス、ブスバー、バスダクトなどがあり、それらが交流磁場発生源となります。
規制
漏洩磁場に対する法的な規制はありませんが、以下に紹介する基準に従って設計されることが一般的です。
1) 人体に対して
ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)
「時間変化する電界、磁界及び電磁界により暴露を制限するためのガイドライン」
・時間的に変化する磁界への職業的暴露に関する参考レベル(50Hz):1mT(=10G)
・時間的に変化する磁界への公衆の暴露に関する参考レベル(50Hz):200μT(=2G)
2) コンピュータ機器に対して
JEITA IT-1004(電子情報技術産業協会)
「産業用情報処理・制御機器設置環境基準」
・設定環境基準の定義(ノイズー磁界-交流): | Class A 1A/m(=1256nT=12.56mG) Class B 3A/m(=3768nT=37.68mG) |
※現在、建築学会 環境工学委員会においても、磁気環境計測・評価法のスタンダード化を進めています。
磁気シールド対策
漏洩磁場は距離減衰するため、磁場発生源をコンピュータ機器などから離して配置することが望ましいです。
それでも漏洩を抑えられない場合は、磁気シールドが有効です。
図2.電気室漏洩磁場シミュレーション例(磁気シールドなし)
図3.電気室漏洩磁場シミュレーション例(磁気シールドあり)
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