シールドには基本的に2つの考え方があります。外部からの有害な目には捉えられない電波、電磁波を遮断して内部のシステム、機器を護ることと、内部で発生する有効な電波や電磁波、医療に必要な放射線等が外部の機器やヒトに影響を与えないようにすること。このふたつのシールドを行うための原理方法はほぼ同じですが、利用施設により様々なシールドに対するノウハウが必要になります。技研興業では、現場からの多様なニーズにお応えするため、調査から設計、施工、メンテナンスまでトータルエンジニアリングで対応します。
放射線
放射線は有用性の反面大きな危険性を持ちます。放射線については以下をご参考ください。
放射線とは
放射線には以下の種類があります。
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U(ウラン)やRa(ラジウム)などの重い原子核から放出される高速のヘリウム原子で正の電荷を持つ。 | ||
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原子核から放出される高速の電子。正の電荷をもつβ+線と負の電荷をもつβ-線がある。 | ||
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励起状態(安定状態に比べ余分にエネルギーをもつ)の原子核から放出される電磁波の放射線。 | ||
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ϒ線と同じ電磁波であるが、高速の電子が原子核の近くを通過するときに減速されて発生する放射線。 | ||
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高い電圧で加速された電子。 | ||
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U(ウラン)やPu(プルトニウム)などの核分裂によって発生する電荷を持たない粒子の放射線。 |
法令上の放射線の定義(原子力基本法第3条第5号)
1.アルファ線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線 |
2.中性子線 |
3.ガンマ線及びエックス線(軌道電子捕獲に伴って発生する特性エックス線に限る) |
4.1メガ電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線及びエックス線 |
放射線に関する量と単位
法令で用いられている量と単位を中心に、それらの意味、記号等を下表に示します。
量 | 単位 | 意味 | 備考 |
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記号 | 記号 | ||
放射線 | ベクレル Bq | 放射性物質が放射線を放出する能力をいい,1ベクレルは1秒間に1回の壊変をいう。(S-1で表す) | 旧単位キュリー(Ci) 1Ci=3.7×1010Bq |
吸収線量 D | グレイ Gy | 放射線および物質の種類に関係なく,被照射物質の単位質量当り,放射線から与えられたエネルギー量。1Gy=1J/kg。 | 旧単位ラド(rad) 1rad=0.01Gy |
線量当量 H | シーベルト Sv | 放射線の種類やエネルギーにより人体組織に対する影響が異なることを考慮した,放射線防護に用いられる線量。 線量当量(Sv)=吸収線量D(Gy)×線質係数Q×修正係数。 |
旧単位レム(rem) 1rem=0.01Sv |
放射線の人体への影響
放射線による影響は、被爆して短時間に確認される急性影響と、長い潜伏期を経て現れる晩発影響に分けられます。
急性影響は、原水爆による被爆や原子炉等の事故により一時的に大量の放射線を受けたとき見られる障害です。
これに対して、晩発影響は数年から数十年の潜伏期の後に現れる障害です。これには、胎児への影響、白内障、白血病やガンなどがあげられます。この晩発障害は一般的に急性障害よりも低い線量の被爆で現れます。
放射線防護
放射線には物質を透過する性質があり、相手に電離を起こさせる能力の弱いものほど透過力は大きくなります。
α線 | 透過力は極めて小さく薄い紙1枚で止まる。 |
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β線 | アルミニウムやプラスチック板なら数mmから1cm程度で止まる。 |
X線・γ線 | 透過力が大きい為、遮蔽には十分な厚みを持った密度の高い物質(鉛、鉄、コンクリート等)を用いる必要がある。 |
中性子線 | 密度が高い物質と水素を多く含む物質を組合せ、場合によってはホウ素のような熱中性子を吸収する物資を併用する。 |
放射線防護工事
放射線防護工事
電波
普段私たちに大きな恩恵を与えてくれる電波(電磁波)ですが、一方ではEMI(電磁妨害)が問題になっています。電波については以下をご参考ください。
電波(電磁波)とは
電波は光や赤外線、X線、γ線などとともに電磁波と呼ばれています。下図は、電磁波を周波数により分類したものです。
電波は3THz以下の範囲の電磁波であり、電波は国際電気通信条約規則により下表のように分類されています。
名称 | 周波数帯 | |
---|---|---|
超長波 | VLF(Very Low Frequency) | 3kHz~30kHz |
長波 | LF(Low Frequency) | 30kHz~300kHz |
中波 | MF(Medium Frequency) | 300kHz~3MHz |
短波 | HF(High Frequency) | 3MHz~30MHz |
超短波 | VHF(Very High Frequency) | 30MHz~300MHz |
極超短波 | UHF(Ultra High Frequency) | 300MHz~3GHz |
センチ波 | SHF(Supper High Frequency) | 3GHz~30GHz |
ミリ波 | EHF(Extremely High Frequency) | 30GHz~300GHz |
電波遮蔽(シールド)材料
電磁波シールド効果(SE)はシールド材表面の反射及び減衰吸収によって得られ、一般にシールド材に入射した電磁波はシールド表面で大きく反射されます。そのためにシールド材としては特性インピーダンスの小さいもの選ぶ必要があります。電磁波シールド効果(SE)はシールド材に入射した電磁波と透過電磁波の比で示され、次式で与えられます。
電波は電磁波の1種で、電界と磁界が伴って進む波です。電界に対しては銅、アルミニウム、などの導電性の高い方がよく、また磁界に対しては初透磁率が高い材料を選ぶ必要があります。
金属 | 体積抵抗率 [10-8Ω・m] | 初透磁率 |
---|---|---|
銅 | 1.72 | 1 |
銀 | 1.62 | 1 |
金 | 2.4 | 1 |
アルミニウム | 2.75 | 1 |
マグネシウム | 4.5 | 1 |
亜鉛 | 5.9 | 1 |
黄銅 | 5~7 | 1 |
ベリリウム | 6.4 | 1 |
ニッケル | 7.24 | 250 |
鉄(純) | 9.8 | 300 |
鉄(鋼) | 10~20 | 300 |
鉄(鋳) | 57~114 | - |
鉛 | 21 | 1 |
パーマロイ | 16 | 10000 |
電波吸収体
電波吸収とは、電波エネルギーが熱エネルギーに変換される現象です。例えば電子レンジは2.45GHzという高い周波数の大電力の電波を食物に照射することにより、食物が電波を吸収し熱を発生するため、火を使わずに食物を熱することができます。
電波吸収材料は各種ありますが、大きく次の3つに分類できます。
1.導電性電波吸収材
2.誘電性電波吸収材
3.磁性電波吸収材
・導電性電波吸収材とは、抵抗体、抵抗皮膜でこれに流れる導電電流によって電波を吸収させるものです。
・誘電性損失材料には、カーボンゴム、カーボン含有発砲ウレタン、カーボン含有発砲ポリスチロールなどがあります。広帯域特性を得るために、多層構造にして表面近くの減衰を少なくし、内部に入るほど大きな減衰を得られるようにします。
・磁性損失材料としてはフェライトが代表的です。整合する周波数は材質により、およそ0.3GHz~1.5GHzの範囲です。
電波シールドルーム
シールド効果の基準として次のような目安があります。
10dB以下 | ほとんど効果なし |
---|---|
10~30dB | 最小限のシールド効果あり |
30~60dB | 平均 |
60~90dB | 平均以上 |
90dB以上 | 最高技術によるシールド |
電波シールドルームを製作するには空間に伝搬する電磁波をシールドするだけではなく、電源及び信号ケーブルを通して漏洩する電波ノイズをシールドする必要があります。また、出入りのための扉、窓、空調の開口等もシールド対策する必要があり、シールドルームのシールド効果を左右するのは、まずこの開口部のシールド処理といえます。
簡易型電波シールド引戸
シールド扉といえば開き戸が当り前でしたが、技研興業は違います。
バリアフリー | 吊戸ですから床面にレールがなく、歩行や車椅子、ワゴン、ストレッチャーなどの移動を妨げません。 |
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オートドア対応 | 手動だけでなく、使いやすいオートドアとしも利用可能です。 |
多機能性 | 電波シールドだけではなく防音用として複合機能を備えた扉としてもご利用できます。 |
高性能型電波シールド引戸
シールド性能:100dB以上の高性能引戸です。
高性能今まで引戸では難しかった100dBのシールド性能を実現しました。バリアフリー吊戸ですから床面にレールがなく、歩行や車椅子、ワゴン、ストレッチャーなどの移動を妨げません。オートドア対応手動だけでなく、使いやすいオートドアとしも利用可能です。多目的病院のMRI室や研究施設のシールドルームなどに使用可能です。
高性能 | 今まで引戸では難しかった100dBのシールド性能を実現しました。 |
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バリアフリー | 吊戸ですから床面にレールがなく、歩行や車椅子、ワゴン、ストレッチャーなどの移動を妨げません。 |
オートドア対応 | 手動だけでなく、使いやすいオートドアとしも利用可能です。 |
多目的 | 病院のMRI室や研究施設のシールドルームなどに使用可能です。 |
シールド引戸のシールド性能グラフ(当社研究所にて測定)
高性能型電波シールド折戸
折戸型のシールド扉です。
二重扉にした場合
高性能 | 1MHz~65MHzで100dBのシールド性能を実現しました。 さらに、扉を二重にすることで1Gまで100dBの性能を実現します。 |
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特 徴 | 折戸であるため、扉の開閉に伴う専有スペースを小さくすることができます。 |
多目的 | 病院のMRI室や研究施設のシールドルームなどに使用可能です。 搬入用扉などの大型扉にも適用可能です。 |
特許出願 | 特願 2008-216681号 |
高性能型電波シールド引分戸
大きな開口を持つ高性能電波シールド引分戸です。
高性能 | 5MHz~130MHzで100dBのシールド性能を実現しました。 |
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オートドア対応 | 手動だけでなく、使いやすいオートドアに対応しています。 |
多目的 | 開口サイズを大きくできるため、手術室付属のシールドルームなどに適応できます。 |
特許公開 | 特開 2007-303093号 |
音
心地よい音、気にならない音、騒がしい音、音にもいろいろあります。音についての薀蓄は以下をご参考ください。
音とは
音は空気中の密度の変化の波(粗密の波)が伝わる現象で、性質として「波動としての音」と「エネルギー粒の流れとしての音」の2つを持っています。音には物理量と感覚量があり、これを音の三要素にあてはめると、物理的な音の強さは感覚的な音の大きさに、音の周波数は音の高さに、音の周波数成分は音色にそれぞれ関係しています。
音圧レベル(SPL)計算式
・音の強さと大きさ
音の強さを示す物量の1つに音圧があり、それをレベルの形で表したのが音圧レベルです。音圧とは空気の圧力の交流的な微小変化であり、単位はPa(パスカル;N/m2)です。この音圧pを式にあてはめれば音圧レベル(SPL)が求められます。
音の大きさは感覚量であり、音圧などの物理量とは必ずしも一致しません。この2つの関係を示す指標として等ラウドネス曲線が用いられます。この曲線は純音についての音圧レベル(dB)と大きさのレベル(phon)との関係を示すものです。
騒音レベル
騒音レベルとは騒音の大きさの評価量であり、単位にはホンまたはdB(A)が使用されます。騒音レベルは物理量である音圧レベルにA特性(下表)の聴感補正を行うことにより算出され、法定計量器である騒音計には必ず用いられます。
A特性の聴感補正値
中心周波数 (Hz) |
63 | 125 | 250 | 500 | 1000 | 2000 | 4000 | 8000 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A特性の補正値 (dB) |
-26 | -16 | -9 | -3 | 0 | +1 | +1 | -1 |
NC曲線
NC曲線(下表)は騒音の評価基準の1つです。ある騒音を評価する場合、オクターブバンド毎の音圧レベル(オクターブバンドレベル)をグラフにプロットしすべてのプロットより高い曲線の内最低のものをそのNC値とします。
音響透過損失
透過損失(TL)は材料の透過率(入射する音のエネルギー/透過する音のエネルギー)をdB表示したもので、以下の式で定義されます。
材料の透過損失は音の周波数と材料の単位面積当りの質量の積の対数にほぼ比例し、これを質量則といいます。
遮音性能基準
遮音性能基準特性としてD特性のグラフがあります。これは室間平均音圧レベル差に関する遮音等級の基準周波数特性として定められたものです。
残響時間
残響時間とは、室内の音場が定常状態に達した後に音源を停止した時、室内の音圧レベルが60dB減少するのに要した時間であり、単位は秒を用います。
磁気
磁気を利用した、研究用、医療用の機器が注目されてきています。技研興業は、より高度な磁気技術をサポートいたします。
磁気とは
磁気とは強磁性体の元素(原子)に含まれる原子核の中の陽子(プラス)の周囲を回転(自転)する不対電子がその根本といわれています。つまり、電子が原子核の周囲を回転することで電子流(電流)となり、これにより磁気エネルギーが発生するということです。
磁気に関する単位
CGS単位系とSI単位系
項目 | CGS単位系 | SI単位系 | CGS→SI単位換算式 |
---|---|---|---|
磁束 | Φ[Mx] [マックスウェル] |
Wb(Φ) [ウェーバー] |
Φ(CGS)×10-8=Φ(SI) |
磁束密度 | B[G] [ガウス] |
T [テスラ] |
B(CGS)×10-4=T(SI) |
磁界の強さ | H[Oe] [エルステッド] |
A/m [アンペア パー メートル] |
H(CGS)×79.6=A/m(SI) |
真空中の透磁率 | 1 | 4π×10-7[H/m] [ヘンリー パー メートル] |
- |
Φ(CGS)×10-8=Φ(SI)
磁気による影響
磁気が人体に及ぼす影響は非常に複雑であり、未だによく解明されていません。以下の表は磁気により影響を受ける機器の例です。
0.5ガウス | シンチレーションカメラ、イメージインテンシファイア |
---|---|
1ガウス | 電子顕微鏡、精密天秤、カラーTV、超音波機器、CTスキャナ、PETスキャン、サイクロトロン、リニアック |
5ガウス | ペースメーカー、白黒TV、X線管球 |
10ガウス | 磁気テープ、フロッピーディスク、クレジットカード、腕時計、カメラ、空調装置、機械設備、電話交換機、自動現像機、 |
30ガウス | 小型モーター、分電ユニット |
50ガウス | 電話 |
磁気(磁場・磁界)シールド
磁気シールドと電波シールド
磁気シールドと電磁波シールドの明確な区分や定義はありませんが、次のように周波数で分類される場合があります。
・磁気シールド;DC~10kHz
・電磁波シールド;10kHz~40GHz
磁気シールドも電磁波シールドも、シールド体の閉曲面によって両側の空間を電磁気的に絶縁するという意味では本質的に変わりません。
磁気シールドと効果
磁気シールドの方法としては、ヘルムホルツコイルに逆磁場を発生させて打ち消す方法、超電導体のマイスナー効果による方法、高透磁率材料と高導電度材料を使用して必要な空間を囲む方法とがあり、性能、メンテナンスの点で高透磁率材料を使用した方法が一般的です。
磁気シールドしたい空間を高透磁率材料で囲むと、磁力線は比透磁率が高く磁気抵抗の低い材料にそって流れ、シールド効果が発生します。この原理を強磁性シールドといいます。
磁気シールド材料
磁気シールド材には、加工性の面から高透磁率である金属磁性材料を使用します。
透磁率とは磁束密度とそれに対応する磁化力の比(磁束密度/磁化力)であり、磁力線をどれだけ通しやすいかを表したものです。
磁気シールド効果は、材料の透磁率に比例するので、対象磁界が小さく、材料の磁気飽和が問題にならない場合は透磁率の大きいパーマロイを使用することにより、高性能が得られます。また、高磁界のシールドには電磁純鉄やケイ素鋼板などの飽和磁束密度の高い材料が有効です。
テクノシールド事業についてのお問い合わせ
- テクノシールド事業本部
- 03-3398-9200
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